顔はアイドル、武器はめげない気持ち。「捕まえたもん勝ち!」加藤元浩・著

イラストは加藤元浩・著「捕まえたもん勝ち!」の主人公・七夕菊乃のアップです。
[Kikuno Tanabata's Investigation report] Created by Motohiro KATÔ

七夕菊乃は高校生の時、ご当地アイドルグループのリーダーとして活躍します。
そのとき作詞家の先生が殺されるという事件に遭遇したことが、彼女の運命を大きく変えたようです。

正義感あふれる菊乃は、運営側のやり方に不満を爆発させ、
高校時代をもってアイドル稼業に見切りをつけます。

その後、アルバイトで貯めたお金で大学へ。
国家公務員試験にみごと合格し、いわゆる「キャリア組」警官となります。

配属先は猛者揃いの捜査一課。
(卒配といって、まだ本格的な配属ではありません)

からかわれ、しごかれ、はじめのうちこそ鬼っ子あつかいの菊乃でしたが、
持ち前の気の強さでもって、先輩たちに何度も体当たりしていきます。

むかしアイドルだったことは本人的には「黒歴史」なのですが、
警察の上層部にとって「元アイドル警官」は美味しい材料。
菊乃をイメージアップのキャラクターにするつもりでいます。

そんな扱い方をされることに悩む菊乃。
客寄せパンダは彼女の本意ではないのです。

そんなさなか、事件が起きます。
あるアパートで、大学生が薬物により中毒死していました。

部屋は密室状態。
事故か、自殺か。あるいは殺人か。

“アンコウ”と呼ばれる切れ者の警部と、
捜査アドバイザーとして事件にかかわっている
大学教授・草辻とのあいだで、意見が真っ向から対立します。

はたして真相は……?

現在、少年マガジンRにて「Q.E.D. iff-証明終了-」、
月刊少年マガジンにて「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」と
二本の連載マンガを抱えていらっしゃる加藤先生。
本作は初の書き下ろしノベルです。

その超人的な仕事量と、
湯水のごとく湧き続ける発想には
驚きを隠せません。

また加藤元浩ワールドの主人公たちが
作品の枠を越えてコラボするのも
ファンとしての楽しみのひとつです。

“キック”こと、七夕菊乃の
今後のさらなる活躍を期待しましょう!

(以下、引用です)

ファイルを見た彼は、私が官僚であることを知ったようで、見るからに不機嫌が再発していた。
「七夕、オレをどんな方法でもいいから倒して逮捕しろ」
豪部川教官は構えた。
こりゃ投げ飛ばす気だ。
「いいんですか?」
悪気なく、こう答えてしまった。
教官に遠慮したつもりだったのだが、聞きようによっては挑戦状である。
この返事は体育館にいる汗まみれの生徒と教官を凍りつかせた。
「菊乃のやつ、なに寝言を言ってんだ」
「謝れバカ……」
一気に静まり返り、パタパタという換気用のファンの音だけが響く。
このとき初めてマズイ返事をしたことに気づき、周りを見回した。
みんなは「気絶したら運んでやるから」と優しい目をしてくれた。
教官は棒立ちの犯人役から姿を変え、右半身を前に歩幅を取り、腕を軽く構えた。完全に柔道の本気の構えだ。腕をつかまれた瞬間、間違いなくカエルみたいに叩きつけられる。
警察学校屈指の巨漢、豪部川vs.小柄な女性警官、七夕菊乃。
プロレスでこんなマッチメイクしたら観客は「イジメかよ!」と、怒るに違いない。でも考えてみれば、実際の現場ではこういう状況もありうるのだ。
そうだ、倒さないと。
肩のカモメの傷に手を置いた。


 

 

 

 
〈加藤元浩先生 関連記事〉

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」シリーズ

ガラスの地球が壊れる前に。「C.M.B.『透明魚』」加藤元浩・著(月マガ2019年10月号)

“彼女の名誉を守れ”「C.M.B.『気の合わないヤツ』」加藤元浩・著(月マガ2019年9月号)感想

泥の中に咲く蓮。「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」‘死体がない!’ 加藤元浩・著

蛇行する“石”の謎。「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第41巻 加藤元浩・著

超弩級の連作短篇マンガ「C.M.B.森羅博物館の事件目録」加藤元浩・著
 
 
「Q.E.D. 証明終了」シリーズ

加藤元浩・著「Q.E.D. 証明終了」のアソビ部分を集めてみました。

復讐はショパンの調べ。「1億円と旅する男」感想「Q.E.D. iff -証明終了-」加藤元浩・著

美しい思い出だけを。「メモリ」感想「Q.E.D. iff -証明終了-」加藤元浩・著

女盗賊“ルージュ”の完全犯罪。「Q.E.D. iff -証明終了-」第13巻。加藤元浩・著

面白マンガ6冊。「Q.E.D.」加藤元浩、「ブルー・ジャイアント」石塚真一、他。
 
 
「捕まえたもん勝ち!」シリーズ

七夕菊乃 in コミックス「Q.E.D. iff」&「C.M.B.」加藤元浩・著

“あの人”に贈る殺人。「奇科学島の記憶 捕まえたもん勝ち!3」加藤元浩・著

七夕菊乃vs.量子人間「捕まえたもん勝ち!2」加藤元浩・著

顔はアイドル、武器はめげない気持ち。「捕まえたもん勝ち!」加藤元浩・著