七夕菊乃vs.量子人間「捕まえたもん勝ち!2」加藤元浩・著

イラストは加藤元浩・著「C.M.B.森羅博物館の事件目録」第33巻「Op.109-見えない射手」よりの一コマです。七夕菊乃が男性を蹴っている瞬間です。
Kikuno TANABATA Illustrated by Motohiro KATÔ

キック、いきなり内定取り消しの危機です。

あざやかに難事件を解決した“キック”こと七夕菊乃、24歳。
警察上層部は、キックが想像以上に
「できる」女であることを思い知らされました。

いつか確実に出世レースで追い抜かれる、
そう危惧した彼らの何人かは、
出る杭は打て、美しく咲く菊は引っこ抜け、
とばかりに、彼女への嫌がらせに精を出します。

そんな向かい風の吹く中、
ある殺人事件がアメリカで起こりました。

金持ちでエリートの大学生グループが
勉強のストレス発散という名目で、
日頃からドラッグに手を染めていました。

麻薬の売買は、フィオナという
30歳のシングルマザーが請け負っていたのですが、
彼女は、ギャングたちの縄張り争いに
巻きこまれ、殺されてしまいます。

それだけなら、さして珍しくもない事件かも知れません。
しかし、ここから奇妙なことが起こります。

「量子人間」と名乗る何者かが、
フィオナの復讐と銘打ち、なぜか
彼女を殺したギャングではなく、
金持ちお坊ちゃまグループの面々を
次々と殺害し始めたのです。

予告殺人のリストの中には
日本人学生の名前もありました。
そこでキックたちとつながってくるわけです。

さっそくアメリカへ飛ぶキックら日本代表3人。
しかし同行した2人の男たちは、初日から
酔いつぶれてしまい使い物にならず。

FBIの大男たちの中に埋もれながらの、
キックの孤軍奮闘が始まります。

「量子」人間と名乗るだけあって、
壁をすり抜けたかのように、
密室での不可能殺人を演出してみせる犯人。

われらがキックは、持ち前の粘り強さと
明晰な頭脳で、敢然と立ち向かっていきます。

(以下、引用です)

紫崎課長の顔が引きつった。
「アリバイの裏取りをしない? 何のことだ」
讃岐警視総監は少し驚いた。
「こいつ半月ほど前に、監視カメラに写った犯人の顔を見間違えて、別人の逮捕状請求を指示したんです。ちゃんと裏取りしねえから危うく冤罪事件を起こすとこだ。オレが画像解析して事なきを得たんだが……」
「黙れ! あの件は適正に処理した。もはやなんの問題もない!」
大勢の上司の前で恥をかかされた紫崎課長が、血相を変える。隣にいた古見参事官も白髪が逆立ち、目に呪いの力が加わり始めた。
ヤバいって。もういい。アンコウ、黙れ!
「キック、お前一緒に来い。お前の方が使える」
「なっ!」
会議室中の偉い人の目が、不吉な音を立てて、こちらを向いた。
違う、私は関係ない!
「こいつを部下として使っていいなら、喜んで拝命します」
「君は捜査とデートを取り違えとるんじゃないのかね?」
紫崎課長は、どす黒い笑顔でイヤミを放つ。
「キックの方が、あんたより使えるし」
アンコウは平然と言い放つ。
「バカ…………じゃなくて、私は国内で仕事がありますので。深海警部はボストンで頑張ってきてください」
私は笑顔を引きつらせて答える。
「いいじゃないか。深海くんの望みを叶えてやろう。助手として七夕警部を連れて行くといい」


※トップのアイキャッチ画像は
加藤元浩先生のマンガ「C.M.B.森羅博物館の事件目録」第33巻 – Op.109:「見えない射手」より、まことに勝手ながら転載させていただきました。

キックの活躍は小説「捕まえたもん勝ち!」シリーズの他に、
マンガ「C.M.B.森羅博物館の事件目録」第33巻、第36巻、
「Q.E.D.iff -証明終了-」第5巻でも見ることができます。


 

 

 

 
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