ガラスの地球が壊れる前に。「C.M.B.『透明魚』」加藤元浩・著(月マガ2019年10月号)

イラストは加藤元浩・著「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」月刊少年マガジン2019年10月号掲載『Op.143 透明魚 Transparent Fish』の表紙の一部です。榊森羅くんと七瀬立樹ちゃんが透明な魚を眺めています。
SAKAKI Shinra and NANASE Tatsuki [C.M.B. Op.143 Transparent Fish] created by KATÔ Motohiro (Monthly Shônen Magazine 2019-10)

月刊少年マガジンで大好評連載中!
加藤元浩先生が描く森羅万象ミステリ
「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」

『Op.143 透明魚 Transparent Fish』
が、月マガ2019年10月号に掲載されました。

今回は
「地球温暖化」
「表現の自由」
という、私たちが今直面している問題に
真っ向から切り込んだ内容となっています。
心して読んでいきましょう。

あらすじ (ネタバレなしの方向で)。。。

事件はアメリカのニューヨークで起こりました。

「地球温暖化を警告するアート展」
を開催している現代美術館に何者かが侵入、
作品を燃やすという暴挙に出たのです。

犯人は逃走のさい、学芸員を刺し、
瀕死の重傷を負わせました。

犯行現場には
「地球温暖化なんて嘘っぱちだ」
という内容の貼り紙が残されていました。

美術館のオーナーは
アラン&エリーという若き富豪夫婦。

「C.M.B.」の姉妹作品
「Q.E.D.」シリーズでおなじみの二人です。

「Q.E.D.」は、新シリーズの
「Q.E.D. iff -証明終了-」も含めると、
2019年9月の時点で、合計63巻(!)出ています。
(現在『マガジンR』にて絶賛連載中! ※紙書籍版のみの掲載です)

アランとエリーは、もともと
ソフト会社のCEOと秘書という関係でした。

「Q.E.D.」第22巻「ベネチアン迷宮」で、
アランがエリーにプロポーズ。

「Q.E.D.」第34巻「災厄の男の結婚」
で、めでたく結婚式を挙げました。

二人は、世界中の恵まれない人々のために
慈善事業にも大いに力を注いでいます。

ちなみにアランの会社が大成功する
きっかけとなったソフトの開発に協力したのが、
当時、マサチューセッツ工科大学に
飛び級入学していた澄馬想(とうま そう)くんでした。

いわずと知れた「Q.E.D.」の主人公です。

それ以来、アランはことあるごとに
自分の会社に澄馬くんを引き入れようと
画策しますが、澄馬くんはなかなか
首を縦に振らず、今に至っています。

澄馬くんの従兄弟にあたるのが、
本編「C.M.B.」の主人公、
榊森羅(さかき しんら)くん。

今回は澄馬くんの紹介というかたちで
事件の解決に手を貸すこととなりました。

森羅くんは現役の高校生でありながら
なんと博物館を経営しています。

それだけに美術品を破壊するという
犯人の卑劣なやり口には、
尋常ならざる怒りを抱いているのです。

今回の事件の最大のナゾは
犯人の侵入経路。

入り口は一つしかなく、
監視カメラは正常に作動していました。

ところが犯人の姿が映っていないのです。

閉館時間まで館内にひそんでいた
という可能性はないことが分かっています。

さらに不思議なことに
ガードマンが3人いたにもかかわらず、
犯人は展示室の中を通り抜けているのです。

……と書くと、多くの人は思うことでしょう。
「そりゃガードマンの中の誰かが共犯なのさ」
と。

しかし加藤元浩先生の作品に関しては
原則として、それはありません。

先生は「共犯者をつくらない」で
トリックを成立させる、という縛りを
自らに課しておられるからです。
(ソース元「Q.E.D.証明終了 ザ・トリック・ファイル」)

なぜ「共犯者を立てない」のかというと

短い読み切りの中で共犯者を立ててしまうと、どんな場合にもアリバイが成立し、どんなことでもできてしまう

からだそうです。
す、すごい……!

このことを、頭に入れた上で
「Q.E.D.」(と「C.M.B.」)を読むと、
なおいっそう面白みが増すと思います。

ちなみに、あえてそのルールを破った作品が
「Q.E.D.」第26巻に収められています。

閑話休題。

数日後、FBIが容疑者を捕らえました。
しかし決め手となる証拠がありません。

いったい犯人はどうやって
防犯カメラをかいくぐったのか。

なぜガードマンたちに気づかれずに
展示室を通り抜けることができたのか。

狡知に長けた“擬態”を
森羅くんが華麗にはぎ取ってみせ、
事件はぶじ解決と相成りました。

。。。地球上に住む生き物たちの
“擬態”から学びを得て、
驚愕のトリックを考えついた犯人。

その頭の良さを
もっと有意義なことに
役立てればいいのに、
バーカ、バーカ
と思わずにはいられません。

さいごに備忘録として
雑誌でしか読めない
アオリを引用させていただきました。

扉のアオリ

揺らめく魚
透明なのに形がある不思議。

最終ページのアオリ

謎を透かしてみれば、真実が見えてくる。
人に伝えたい考えは破壊力より“透明性”が大事です。

 

 

 
 
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