「しかけ人たちの企画術」 東京企画構想学舎・編 | 華やかさの影に血のにじむような努力あり。

画像は「しかけ人たちの企画術」東京企画構想学舎編、小山薫堂、箭内道彦、片山正通、後藤繁雄、堂山昌司、吉田正樹、中村勇吾、嶋浩一郎、奥田政行 著の中表紙です。

本書に登場する皆さんは本当に凄いと思います。
日々、考えに考え抜いてアイディアを練り上げているのですね。
睡眠時間2~3時間を一年半ですか~。
まだまだ自分は甘いということがよく分かりました。

自分はテレビはほとんど観ないのですが、
業界の方々のお話は本当に面白かったです。
さっそく何冊か注文しました。
いろいろな刺激をありがとうございます!

(以下、引用)

なにか腹が立つことがある。
あるいは現状に対して不満があって、
これを変えたい、壊したいと思う。
そうでなければ、だれかに猛烈に勝ちたいと思う。
アイディアは、そういう気持ちがあるからこそ
生まれると思うんですよ。

(吉田正樹 …… 「爆笑レッドカーペット」
「トリビアの泉」などを手がけたテレビプロデューサー)

つまり放送も通信も、仕組みはちがえども、企画のよしあしは
「いかに人の生活から時間をもぎ取るか」で決まってくるんです。
要するに、きょう見たくなるコンテンツ、
いま見ないとダメだと思わせるコンテンツをつくれるかどうか。
そういう勝負になると思うんですよ。
そう考えると、テレビのコンテンツのほうに分があるんじゃないか。
(吉田正樹)

よく学生から「アートとデザインのちがいは何ですか」
という質問を受けるのですが、僕はいつも
「アートは問いであり、デザインは解である」と答えています。

(後藤繁雄 …… アートフェア「TOKYO FRONTLINE」や
広告制作も手がけるカリスマ編集者)

偶然が起こるかどうか。
単純にいうと、それは確率の問題です。
とにかくいえるのは、
作業の母数を増やしたほうがいいということ。

(中村勇吾 …… 世界三大広告賞で
最優秀賞を受賞しているウェブデザイナー)

たとえば、ある人から
「地元のものはおいしいというけど、根拠はあるのか」
と指摘されたことがあったのですが、そのときは、
まず自分がおいしいと思うものを勉強して、
その味の理由を説明できるようにしました。
そのいっぽうで、「もっとおいしくなるはずだ」と思う食材を、
生産者といっしょに育んでいくようにもしました。

(奥田政行 …… 「食の都庄内」を全国区にし、
「情熱大陸」にも取り上げられたイタリア料理シェフ)

庄内の特産品である「だだ茶豆」という
枝豆の一種を食べて育てた羊で、食べてみると、
鳥肌が立つくらいにおいしい。でも、
その生産者である丸山さんは自分の羊が特別だとは思っていない。
それどころか、もう養羊は辞めようと考えている、
といわれ、私は慌ててつぎの休みに高速バスで
東京のレストランに売り込みに行きました。(中略)
実際に、丸山さんの羊は東京の有名店で高く評価され、
『東京カレンダー』や『クロワッサン』、『BRUTUS』、『専門料理』
など、さまざまな雑誌や専門誌に登場しはじめました。
そういうこともあって、丸山さんの羊は、
いまや日本でいちばんおいしい羊といわれています。
(奥田政行)

『クロワッサン』は月2回刊ですから、
料理してレシピを出して文章を書いて、
そのレイアウトを確認してまちがいをなおすと、
もうつぎがはじまる。これを1年半つづけました。
さすがに睡眠時間が毎日2~3時間になりましたが、
庄内を食の都として日本中に知ってもらうには、
これくらいしなければと思っていたんです。
(奥田政行)

きっかけは、『風とロックの写真集』だったかな。(中略)
すごくいいっていってくれる人と、クズだっていう人に
スッパリ分かれて、それがぼくには、なんだかとても
おもしろかった。そのときに、クズっていう人とは
関係ない人生を生きていけばいいんだって開きなおれた気がする。
これからは、すごくいいっていってくれる人を大事にして、
そういう人が増えたらうれしいなと思いながら
生きていけばいいやって。

(箭内道彦 …… タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」
などを手がけるクリエイティブディレクター)

追いつめられながら最大限に集中して、
自分のもてるものすべてを凝縮した末に生まれる案こそが、
本当に強いアイディアです。

(堂山昌司 …… 「MTVジャパン」立ち上げや
東芝EMI社長も務めたマイクロソフト副社長)

だから、あくまで肝心なのは、
人の気持ちが動くようなおもしろいネタを考えられるかどうか。
なぜこれで人の気持ちが動くのか、の
「なぜ」の部分を考えるのが企画です。
(中略)ちなみにぼくは、企画とは
「世の中の暗黙知を言語化したもの」だと思っています。

(嶋浩一郎 …… 「本屋大賞」「社長島耕作就任キャンペーン」を
手がけたクリエイティブディレクター)

あと、知っておいたらいいと思うのは、
社会記号はブランドを寡占化する傾向があるということです。
「第3のビール」が流行っているという報道が出るとき、
市場には数多くの商品があるのに、
メディアに登場するブランドはひとつかふたつだけなんです。
(嶋浩一郎)

ぼくが阿佐ヶ谷にある書原という書店が好きなのも、
それが理由です。書棚の編集技術がすぐれていて、
あそこに行くと、買うつもりのない本を思わず買ってしまうんですよ。
フロイトの夢判断のように、自分の気づかない欲望を
発見させられている感じですよね。
これはいまの検索では、まだできないことですね。
(嶋浩一郎)

ぼく自身もよくインターネットで買い物をしているのですが、
そういう時代に店舗がどう共存していけるんだろうかと考えると、
やはりリアルな場所ならではの体験を提供する必要があると思うんです。
単に「モノを買ってよかった」ではなく、
「来てよかった」と感じさせるなにかがないと、
店舗にわざわざ足を運ぶ価値がありません。

(片山正通 …… 「ユニクロ」「ナイキ」
旗艦店のデザインを手がけるインテリアデザイナー)

いまお話ししたことにも近いのですが、
ぼくの発想のきっかけとなっている考え方のひとつに
「勝手にテコ入れ」というものがあります。
どういうものかというと、巷にある他人のアイディアを見ながら、
自分だったらこうするのになと、
頼まれてもいないのにアイディアを勝手につけ加えて、
テコ入れを考えるんです。まあ、
一種の発想トレーニングでもあるのですが、
こういう考え方を日常的にするようになってから、
ぼくの仕事に広がりが出てきたような気がします。

(小山薫堂 …… 「おくりびと」「料理の鉄人」
などを手がけた放送作家、脚本家)