オススメマンガ5本「ブルーピリオド」「湯神くんには友だちがいない」他

志村貴子・著「放浪息子」第7巻カバーの一部。学生服を着たお下げ髪の女の子(男の子?)が立っているイラストです。
Wandering Son (Hourou Musuko) created by SHIMURA Takako

おすすめマンガ5本

「ブルーピリオド」山口つばさ・著

東京藝術大学を目指す
一見チャライ系男子が主人公です。
マンガのコマ割も、斬新なレイアウトが
ところどころに見受けられます。

主人公は現役で芸大に合格できるのか?

結果は、私の予想と違っていました。
や、やられた~!

ところで試験開始の時って、
学生がベルを鳴らしながら走り回るんですね。
伝統なのでしょう。
岡倉天心の草案?

「湯神くんには友達がいない」佐倉準・著

読み始めのうちは、
自己中心的な湯神くんのことが嫌いでしたが、
いつの間にか好きになってしまいました。

ただ、野球という傑出した能力があるから
まわりは一目置いているわけで、
とりたてて取り柄のない人があの性格だったら
相手にされないんじゃないかなあ。

「放浪息子」志村貴子・著

放浪息子」というタイトルから、
まれな指向を持つ子どもを持つ親の
葛藤が描かれたマンガかなと思いましたが、
そういう内容ではありませんでした。

子ども間でのイジメや偏見も描かれていますが、
全体的にソフトで、ほのぼのとした雰囲気です。

ところで性同一性「障害」という言葉には
とても違和感があるというか、
はっきり言って偏見だと思います。

「自分は正常、自分と違っている奴は異常」
と決めつけることにそこはかとない恐ろしさを感じます。

まあ、そう思えるようになったのはこの作品のおかげで、
以前は自分も偏見のかたまりでした。

そんな心をほぐしてくれる
という意味でも、超オススメです。

「ハガネの女」深谷かほる・著

主人公は小学校の先生です。
後半、超エリート中学校に赴任します。

私が驚いたのは、
進学塾に通っている子どもの中には
小学4年の時点で、もう6年分の学習を
終えている子がいるということです。

詰めこみ云々がどうこう言いたいのではなく、
その子は、5,6年生の2年間、すでに教わったことを
じっと座って聞いていなければならないのは
苦痛だろうし、時間のムダではないかということ。

飛び級制度をつくったとしても、
あらたに問題は出てくるでしょうし、
むずかしい問題です。

「1/11 -じゅういちぶんのいち-」中村尚儁・著

これほど泣かせる漫画も珍しいです。
全エピソード、泣かされてしまいました。

主人公、安藤ソラのサッカー人生の
ハイライトといえばどこ?
と聞かれれば、ほとんどの人が
「ワールドカップで得点を挙げた瞬間」
と答えるでしょう。

ですがマンガでは
その場面はさりげなくふれるだけに
とどめてあります。

テーマとなるのは、どちらかといえば
脇役、二流、裏方、という
陰で支える人たちです。

また、ケガや年齢的なものにより
全盛期を過ぎた時代の安藤ソラを
描くことを、作者の中村尚儁氏は厭いません。

下り坂にあるアスリート。
後輩にも軽んじられる“元”日本代表。

誰もが避けることのできない「晩夏の季節」が
少年マンガで描かれることはほとんどありません。

正直言ってあまり見たくないですからね。
しかしこのマンガは、そこを避けて通らず
真正面から取り組んでいます。

そこにも作者の方の真摯さがうかがえます。

後世に残る作品だと思います。