映画『八日目の蝉』 | 永作博美と小池栄子が素晴らしいです。

画像は映画『八日目の蝉』のポスターの一部です。井上真央さんと永作博美さんが並んで正面を向いています。
INOUE Mao and NAGASAKU Hiromi in [Rebirth (Yôkame no semi)]

2分でわかる『八日目の蝉』あらすじ紹介いってみます。

(ネタバレ注意!)

希和子(永作博美)は不倫相手である秋山丈博
(田中哲司)の子どもを身ごもります。
「いつか妻と別れて結婚するつもりだ」
という言葉を信じて産もうとしますが、
秋山にそんなつもりはなく、のらりくらりと逃げるばかり。

結局堕ろし、それが原因で子供が産めない体になってしまいました。
妻の恵津子(森口瑤子)のほうは妊娠。
希和子のマンションに押しかけて「あなたは子どもを殺した。人殺しだ」
「空っぽうのがらんどうだ」とののしった上、
大きくなったお腹を触らせたりの嫌がらせをします。

やがて産まれた赤ん坊を一目見ようと秋山夫妻の家を訪ねた希和子。
夫妻はちょうど赤ん坊をおいて外出するところでした。
魔が差した希和子は赤ん坊を誘拐してしまいます。

同級生の家に転がり込んだのち、エンジェルホームという
一種の駆け込み寺のような男子禁制の施設に入ります。
希和子と娘の(娘じゃないけど)薫は(本名は恵里菜だけど)
3年ほどここで暮らしたようです。

おりしもオウム真理教が世間を騒がしていたころで、
エンジェルホームへの風当たりも厳しくなってきました。
薫の将来のことを考えた希和子は
教祖のエンゼル(余貴美子)との考え方の相違もあり、脱走します。

次の行き先は、ホームで仲のよかったエステル
(市川美和子)の実家がある瀬戸内海小豆島でした。

素麺製造を営んでいるエステルの両親(平田満・風吹ジュン)は、
希和子たちが行く当てがないのを見かねて雇ってくれることになりました。
小豆島での日々が、この疑似母子にとって幸せの絶頂期だったようです。

しかしそんな日も長くは続きませんでした。
ふたりを撮った写真が全国新聞のコンクールで佳作入選。
そこから足がついて、希和子は逮捕されてしまうのでした。

薫は、本名である恵里菜に戻って空白の4年間を抱えたまま、
秋山夫妻と暮らすことになります。
しかし親子の情が通じ合うまでには至りませんでした。

17年後、大学生になった恵里菜(井上真央)のところへ、
ルポライターと称する女性・千草(小池栄子)が訪ねてきます。
恵里菜を取材したいということでしたが、
彼女の本当の目的は別にあったようです。

実は千草も恵里菜と同時期にエンジェルホームに住んでいたのでした。
恵里菜のほうはそのころの記憶が抜け落ちています。
いろいろあった後、ふたりはエンジェルホームの跡地と
小豆島を訪ねることになりました。

一軒の古びた写真館を目にしたとき、恵里菜の足が止まります。
捕まる直前、希和子と写真館に入ったことを思い出したのです。

店主(田中泯)の話によると、
すでに刑期を終えていた希和子が5年前に訪ねてきて、
そのときの写真を引き取ったということでした。

写真を見せてもらった恵里菜は、
この島での記憶をすべて取り戻します。

このとき恵里菜は不倫相手(劇団ひとり)の子を
身ごもっていて、実の両親への復讐の意味をこめて
子どもを産むつもりでいました。

しかし、自分がどれほど慈しみをもって
育てられてきたかを思い出した今、
お腹の子への愛があふれ出してとまらなくなるのでした。

ちまたで大絶賛ですね。
いいところがたくさんありました。
いくつか挙げてみます。

希和子が薫に“ほしのうた”を歌ってあげるところは泣きました。
最後の写真館のシーンにも、あのメロディがかかったら
館内の降水確率は30%から80%に跳ね上がったんじゃないかと
思います。余計なお世話ですね(汗)

写真館といえば、アナログレコードの針がエンドレスで
ブツ……ブツ……といっているところも最高でした。
あの空間だけ時に取り残されているのですね。

永作博美、小池栄子は主役級だからいいとして、
脇を固める俳優の中で抜群によかったのが
エンジェルホーム教祖のとなりで異言で通訳する女性。
めちゃめちゃ雰囲気が出ていました。

それから小豆島のタクシーの運転手。
いい味出していましたねえ!

薫がアニメを観ているシーンでは
とんでもなく古いのが放送されていました。
どんな番組かは察しがつきますね?
この映画のキーワード「八」にちなんで
みなしごハッチ」でした。
(さすがにエイトマンではなかった)

小池栄子扮する千草はエンジェルホーム時代は
マロンという名前でした。
マロンといえば秋。
秋は蝉にとって死の季節。
だからマロンは「八日目の蝉」のメタファだと
思うのですけれど、どうでしょうか。(こっちはマジ)

映画の立ち位置としては、100%希和子寄りで、
実母の恵津子がかわいそうな気もしましたが
希和子のための映画だから仕方ないでしょう。

それにしても小池栄子がこんなに
演技が達者だとは思ってもいませんでした。
(ていうか、はじめて演技を見たんですけどね)

幼少期が特殊すぎて、なにかが欠落したまま
(あるいは、なにかが昇華されないまま)
大人になってしまった女性……という感じが
とてもよく出ていました。

あと、監督が男性の方だったのにもビックリ。
すごい才能を感じました。
今後、要チェックですね。

監督 – 成島出
脚本 – 奥寺佐渡子

※ タイトルに使われている「蝉」は、虫へんに「単」ではなく
虫へんに「単」の三本ヒゲの代わりに「口」を二つ並べるほうの
「せみ」なんですけれど、文字化けしたのでやむをえず
「蝉」で代用しましたことをご了承ください。